ご依頼者様
広告代理店の経営者様。
求人広告の代理店業務を行っていた。
事業拡大のため、同じく求人広告をメインとする広告代理店の会社を吸収合併して、同社の代表取締役を子会社の取締役として任命した。
この子会社の取締役として任命していた男性とのトラブルが問題となっている。
以後、ご依頼者様の会社をA社、取締役をB氏、子会社をB社とする。
ご依頼内容
ご依頼者様が、B氏を取締役として任命後も合併前同様に求人広告業務を主に従事してもらっていた。
しかし、あまりB氏に任せていたB会社が業績に伸び悩んでいいたため、昨年度に別の子会社で求人広告以外の業務を担当するように命じ、別の子会社へと移る事ととなった。
不満が出ないように、給与の減額や取締役としての肩書は依然と残したままにする配慮も行っていた。
しかし、自身がずっと従事していた広告関連の業務から外れたことにB氏は、不満を抱えたていたことがトラブルの原因となった。
B氏が、今回の扱いによって不満を持つようになり、広告業務から外されたにも関わらず、A社の取引先と頻繁に会っているといううわさが流れた。
また業務を外されることを理由に年内に退職を考えているとB社役員に告げていたことも判明した。
B氏に話を持ち掛けられたというA社の取引先から、B氏が、A社と業務内容が同じ別の広告代理店を経営している知り合いの社長と接触しており、その社長と共謀してA社取引先やA社求人媒体の流用、スキームの流出があるかもしれないとの情報を得た。
以後、同社長をC氏とする。
そこでご依頼者様は、B氏の素行調査を行い、A社と同じ広告代理店業務を営むC氏との接触や現在関係のない広告業務のA社取引先に営業をかけないか調べて欲しいとのことであった。
問題が明確に発覚すれば、損害賠償請求を視野に入れての調査となった。
調査概要
B氏の調査は、出勤から帰宅までの素行調査を行い、接触人物の特定、訪れた先の会社名や会社業務内容の確認、C氏との接触頻度を調べることとなった。
また、A社取引先との接触があった場合、ご依頼者様が事実確認をして問題を明確にするものとすることにした。
特に問題視をしていた、C氏との接触頻度等を把握するために調査期間は、1ヶ月間実施することとした。
調査開始
第1週
第1週でB氏は、C氏と退社後に2回接触していることが判明した。
また接触の際に、A社取引先である会社の取締役と見られる男性とも接触しているのを確認する。
A社取引先の男性と接触する際にC氏も同行していたことから、A社取引先をC氏に紹介していることが懸念された。
C氏のその後の同行を調査した結果、B氏に紹介された取引先の会社へ3日後に訪れていることが判明した。
第2週
第2週も、C氏と退社後に1度接触しキャバクラで接待をしていたと考えられる。
C氏との接待前の食事では、B社の社員である男性2名を連れてきていたのも確認することができた。
そのため、B氏は、B社の社員を自身が辞任する際に引き抜くことも懸念される。
また、B氏は単独で、A社と取引がない会社関係を回っていることも確認し、辞任後の仕事の受注に向けて営業回りをしているのではないかと思料された。
その他にも、A社取引先との勤務外接触が1回、営業回りと見て取れる会社訪問が1回あることを確認している。
第3週
第3週では、C氏との接触は見られなかった。
しかし、第2週目に連れていたB社の社員2名と個室のご飯屋へ入るのを確認している。
B氏が、同社員らに仕事の斡旋などを促していないか危惧される。
計男性3名との接触を確認したため、接触した人物それぞれを調査した結果、B社合併前の取引先であった人物が2名、新規取引先のためと見られる人物1名と判明した。
第4週
第4週では、C氏との接触が2回あることを確認した。
C氏と接触の際に、B氏に男性1名を紹介しているのを確認することができた。
また、B氏もC氏に対してA社取引先の男性を紹介していることが判明した。
1ヶ月間で、C氏との接触を5回確認し、B社の社員2名との会合、C社に取引先の紹介や現取引先外への営業活動などが見られた。
調査結果
本件、調査報告を受けてA社取引先などを内部調査していただいた結果、B氏がC氏に紹介したA社取引先が新たにC社と業務契約を結んでいることが判明した。
この結果を踏まえ、B氏はC氏と共謀し、B社親会社であるA社の仕事を横流ししていた可能性が多いに見られた。
また、B氏によってC氏が締結した仕事に関しては、紹介料として数パーセントの利益をもらい受けていたと見られる。
B氏が、C氏に紹介していたB社の社員2名にも同様に、仕事の斡旋や紹介料を支払う旨を伝え、指示を出していたとも考えられた。
そのため、弁護士と相談し、就業規則違反や本来であればA社の取引となり得た業務をB氏とC氏の共謀により仕事受注にならなかったとして、両者に対して損害賠償請求を行うこととなった。
B氏は、訴訟内容を認める事なく全面的に戦うこととなった。
結果として、証拠を基にA社の訴えの大部分を認め、今回のトラブルに関与したB氏らから会社の損害金を受け取ることができた。