民事訴訟とは、私人間の生活関係に関する紛争について、裁判官が当事者の双方から言い分を聞き証拠の調査を行い、私法を適用して紛争の解決を図る手続きのことです。
民事訴訟と刑事訴訟があるのは、ご存じだと思いますが、一体何が違うのかを見ていきましょう。
◆民事訴訟
目的・・・個人間の紛争の解決
和解の有無・・・和解による紛争の解決が可能
証拠収集などの捜査の強制力・・・特別な権限はない
◆刑事訴訟
目的・・・犯罪の嫌疑を受けた者に対して犯罪事実の存否、法令を適用し刑罰や量刑を決定する
和解の有無・・・なし
証拠収集などの捜査の強制力・・・強制捜査など権限が与えられる
目的から特別な権限まで見ても、何もかもが違うのが分かります。
同じと言えるのは、どちらも裁判官が判決を出して決定することになります。
では、民事訴訟において具体的な紛争案件を見ていきたいと思います。
民事訴訟の案件例
・貸金の返還
・労働事件
・知的財産権
・交通事故の賠償請求
・不動産の明渡し
・相続での争い
・自己破産
・名誉毀損の賠償請求
・離婚にともなう慰謝料請求
などがあげられます。
アメリカでは訴訟大国と呼ばれる通り、様々なことで民事訴訟を起こしています。
最も有名な例ですと、マクドナルドのコーヒーを自分でこぼし、完治2年の火傷を負ってしまったため、危険のある不当な商品をマクドナルドは売ったとを民事訴訟を起こしました。
自分でこぼして何を言っているんだと思うかもしれませんが、判決としては陪審が290万ドルもの損害賠償を認める結果となりました。
日本には、そんなことで裁判沙汰と思いますが、日本でもおもしろい民事訴訟の例があります。
新幹線運賃差額返還訴訟と呼ばれるもので、昭和50年に東海道新幹線の利用者の一人が200円の差額を返還するよう訴えを起こした事件になります。
第一審では、200円の差額を返還するように原告側の訴えが認められましたが、上告後の第二審では、残念ながら敗訴となってしまいました。
このように、たとえ小さなことでも民事訴訟を起こすことは誰でも可能です。
ではその誰でも起こせる民事訴訟にも、種類があるのは知っていますか?
民事訴訟の種類
◆通常訴訟
個人の間の法的な紛争、主として財産権に関する紛争の解決を求める訴訟を指します。
例えば、貸金の返還,不動産の明渡し,人身損害に対する損害賠償を求める訴えは,通常訴訟になります。
◆手形小切手訴訟
民事訴訟法の特別の規定によって審理される手形・小切手金の支払を求める訴訟のことです。
この訴訟では,判決を早期に言い渡すことができるようにするため,証拠は書証と当事者尋問に限られます。
第一審の通常訴訟の手続による再審理を要求する機会は保障され、手形・小切手金の支払を求める原告は,この訴訟を提起するか,通常訴訟を提起するかを選択することが可能です。
◆少額保障
少額保障とは、簡易迅速な手続により60万円以下の金銭の支払を求める訴訟のことです。
原則1回の審理で行う迅速な手続きになります。
◆その他(家事事件や人事訴訟)
その他の訴訟では、離婚や認知の訴え等の家族関係についての紛争に関する人事訴訟、行政の行為の取消しを求める訴訟等の行政訴訟があります。
民事訴訟を起こすには?
私人同士での紛争が発生した際、当事者のいずれか一方が裁判所に訴状を提出し、訴状が受理されれば民事訴訟が開始されます。
訴え提起の手数料として、訴額の金額に応じた印紙を購入する必要があります。
なお訴状を提出した側を原告と呼び、相手方は被告と呼びます。
みなさんが良く聞く言葉は、このようにして決められます。
訴状を受け取った裁判所は、被告に対して裁判訴えがあった訴状を送ります。
訴状を被告が受け取った後裁判所は、両社に出廷を呼びかけ、原告は証拠や証人の準備を行い、被告は、訴訟内容に対する答弁書を期日までに提出しなければなりません。
答弁書の提出が終わった後は、口頭弁論と呼ばれる手続きが行われ審理に入ります。
最初に訴状の内容を裁判所が原告に対して確認し、その後被告の答弁書を確認します。
この答弁でお互いの意見を言い合い、証拠や証人を立たせお互いの主張をぶつけます。
すべての証拠や証人が揃ったと判断されれば、判決が下されることになります。
その前に話し合いで和解した場合は、判決が下されることなく裁判は終了します。
この第一審の判決に不服がある場合は、判決書の受け取り後2週間以内に控訴状を第一審の裁判所へ提出し、控訴申し立て後50日以内に控訴理由書を提出することで控訴することができます。
もし民事裁判の判決を無視したら?
相手が判決を無視して金銭の支払いや建物の明け渡し等を行わない場合は、強制執行の申し立てをすることが可能です。
支払いに応じない場合は、相手の資産を差し押さえて競売にかけることで、その代金を債権回収に充てることができます。
また相手の給与や預貯金などを差し押さえ、取り立て分を債権回収に充てることが多いです。
まとめ
民事訴訟は、誰でも起こすことが可能である。
民事訴訟にも種類があり、種類によって判決が出るまでの時間なども変わる。
裁判に勝利したけど、相手が判決を無視した場合、強制執行の手続きを行うことができる。