役員や従業員、退職者による情報の持ち出して問題になるニュースは、度々テレビでも見かけますよね。
退職時に顧客情報や会社の機密情報などを持ち出し、有利に転職を進めようとします。
また、前職の情報やノウハウを活かして、新規で会社を立ち上げる者も多いです。
お世話になった会社にも関わらず、情報を漏洩するなどの裏切り行為は、決して許されるものではありません。
今回は、過去に起きた事件を参考に、情報漏洩予防の重要性をご説明いたします。
最近、起きたニュースで一番有名なのは、かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイトの田辺公己社長が不正競争防止法違反で捕まった事件があります。
田辺社長は、元々はま寿司の取締役を務めた後、2020年にかっぱ寿司に転籍しました。
いわゆる引き抜きで転籍したが、わずか3カ月後にカッパ・クリエイトの代表取締役に就任しました。
田辺社長は、はま寿司を辞める直前に同社の食材の使用量や商品原価、食材の仕入れ先や価格といった営業秘密を持ち出しました。
転職した田辺社長は、そのデータをカッパ・クリエイトの商品企画部長であった大友氏と共有し、設定されていたパスワードは、はま寿司時代の部下だった湯浅氏から聞き出したとのことです。
田辺社長が、カッパ・クリエイトの代表取締役にまで短い期間で上り詰めれたのは、この営業秘密を持ち出していたことが大きく関係していると思われる。
ちなみに持ち出された情報は社内でもアクセスできる人間が限られており、はま寿司の調査で漏洩・流出の経路が判明しました。
はま寿司側は、田辺社長らを刑事告訴しており、不正は企業ぐるみだった可能性もあったため警視庁は法人のカッパ・クリエイトも送検しています。
このニュースから見て取れる通り、ライバル会社の営業秘密は、会社にとって大きな恩恵があり、またその情報を提供してくれた人物にも利益が出ている事が分かります。
ではそもそもどのような情報を持ち出すと罰せられるのでしょうか?
不正競争防止法とは、事業主間の公正な競争を確保することを目的とする法律のことで、営業秘密を保護の対象としています。
営業秘密とは、企業が事業活動の中で使用している技術や営業上の秘密情報のことを指しています。
営業秘密として扱われるための要件とは?
不正競争防止法上の営業秘密として認められるためには、秘密管理性、有用性、非公知性の3つの要件を満たしているものである必要があります。
秘密管理性とは、情報にアクセスする者が、秘密として管理されていることを客観的に見ても認識することができ、情報にアクセスできる者が限定されていることになります。
具体的には、社外秘などと表示の入ったデータや文書、就業規則や秘密保持契約により秘密保持義務が課せられている情報等のものにあたります。
有用性とは、有用な営業上、技術上の情報であることで有用性の有無については、社会通念に照らして判断されるものになります。
有用性が認められる情報としては、顧客情報や仕入先情報、設計図や製造方法、プログラム、実験データなどがあげられます。
非公知性とは、公然と知られていない情報であることを指します。
したがって、すでに一般的に知られている情報や誰でもその情報が見られるようなものについては、営業秘密として保護されることはありません。
この三つの要項を満たすことで、営業秘密として保護されるようになります。
秘密管理が認められるようにするには?
秘密管理性が認められるためには、当該情報を秘密情報として管理する意思が、管理方法によって従業員らに対して明確に示されており、従業員らがその意思を認識できるようにしておく必要があります。
つまり、企業がただ単純にこの情報は秘密情報であると認識しているだけでは不十分ということになります。
秘密管理とするには、情報管理体制の整備を行い営業秘密の情報と営業秘密ではない情報を区別する措置と営業秘密情報について営業秘密であることを明らかにする措置、営業秘密の持ち出し防止する措置を行わなければいけません。
不正競争防止法が営業秘密を保護している理由は、長年の企業努力の集積であり、それが一度でも漏洩するとその回復が困難になります。
今回の事件のように、退職者による転職先への情報漏洩が行われた場合、企業は回復困難な損害を被る可能性もあり、企業としては機密情報が競合他社などに漏洩しないようにしっかりと対策を講じなければ取り返しのつかないことになりかねません。
情報漏洩防止のための対策として、先に述べたことを実践し、経営者側だけでなく従業員側にも情報管理の重要性に関する理解を高めておくことが大切になります。
万が一、情報が漏洩された場合
万が一、会社の秘密情報が漏洩されてしまったらすぐに対処しなければなりません。
具体的な方法とは、民事訴訟による損害賠償請求と刑事告訴による違法性を訴えることが可能です。
会社に漏洩をしそうな怪しい人物がいる場合は、迅速に調査を行いリスクを回避する必要があります。
従業員の素行調査をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。